小田陶器株式會社

Shell/シェル

醤油とわさびが勝手に混ざらないように、アイスクリームがこぼれ落ちないように、スープを最後まで飲みほせるように、チャーハンをこぼさず食べられるように、歳を取ってもずっと使い続けられるように、みんなが笑顔でいられるように、そんなカタチがあったんです。

DETAILS
デザイナー小林和生
クライアント自社ブランド
技法圧力鋳込み
その他2008年度グッドデザイン賞受賞

Desiners Voice開発者コメント

返しとスタッキングという相反する造形要素をムール貝という無理のない自然な形状で
デザイナー/小林和生
このSHELLシリーズをデザインするに至ったのは私自身の経験からです。
身体にハンディキャップを持った友人とカフェで食事をした時のことですが
オーダーを済まし、たわいもない会話を楽しんでいた私たちに食事が運ばれてきて
さあ食べるぞとなったときにその友人が何となく困った顔をしたんです。
私に悟られないように。
友人という関係から障碍者と健常者という関係になった瞬間でした。
片手が不自由な方が使う食器にはすくったものがこぼれ落ちないように
「返し」というものがついています。しかしその「返し」がついているがゆえに
スタッキングできず業務用の器としては受け入れられなかったり
またハンディキャップを持った方からすれば、自分だけが使用する特別な道具という
心理的な引け目を感じさせてしまっていました。
この問題を解決するにはと思い悩み、考えていたときに目に入ってきたのが
魚屋で売られていたムール貝だったのです。
返しとスタッキングという相反する造形要素をムール貝という無理のない自然な形状の中で解決できた瞬間でした。

Desiners Voice開発者コメント

デザイナーの意図に十分応えられたかを自問自答しながら、お互いに歩み寄れる処まで試行錯誤を繰り返し、現在の形状に至る。
営業部部長/近藤博之
デザイナー、デザインとの馴れ初めは、突然にやってきました。
当初、デザイナーは陶磁器ではなく異素材の器を想定していたようです。しかし、他素材(異分野)での商品化には初期にかかる費用、費用対効果などの問題で、荷口化が難しい状況にあった様で、とある紹介を受け、弊社に相談に来られました。
対応したのは当時の営業部長で、デザイナーの思い、商品のコンセプトの一貫性から、大いに感銘を受けた様です。当然デザイナーの人間性もおおいに影響した様ですが、早い段階で弊社での荷口化を英断していました。
しかし、実際にデザインを陶磁器に落とし込んでいく際に様々な問題点がありました。土の特性、焼成による変形などデザイナーとデザインの擦り合わせが何度となく繰り返されました。デザイナーの意図に十分応えられたかを自問自答しながら、お互いに歩み寄れる処まで試行錯誤を繰り返し、現在の形状に至っております。